「街なかの地衣類ハンドブック」などにやり方が出ていますが、家でやるのはちょっと難しいと思っていました。が、
大村先生の動画 YouTube かはくチャンネル
『Microcrystal Tests for Lichen Substances/地衣類化学成分の顕微結晶法』
を見て、実際のやり方がわかったような気がしてきたので挑戦してみました。
用意したもの
以下を某通販サイトにて購入(計4,000円ぐらい)
薬品類:アセトン(ネイルカラーなどのリムーバー)
グリセリン(皮膚の保湿剤用)
氷酢酸(掃除用)
スライドグラスとカバーグラスのセット
スポイト付きガラス瓶 (アロマオイル用)
顕微鏡:数年前に実家の押し入れから掘り出してきた、小学生の頃に買ってもらった骨董品のような物
その他 ピンセット、ライター(チャッカマン)など
カメラはオリンパスTG-6を使用
再結晶用の試薬 GE を用意する
氷酢酸3, グリセリン1 ぐらいの割合でスポイト付きガラス瓶に入れて混ぜた。
氷酢酸でむせた。氷酢酸はそれなりに危険かもしれない。(要換気)
地衣成分の抽出
コフキメダルチイと思われる地衣類の付いたケヤキの樹皮(地面に落ちていたもの。つくば市大穂)
カッターで剥がして二つの小片をスライドグラス上に置く。
アセトンをかける。写真は小片を裏返したところ
数分間そのまま乾くまで待つ。(要換気)
小片に地衣類だけでなく樹皮もついていたためかちょっと汚い。
カッターナイフの刃でスライドグラス表面の付着物をこそげて、中心部に集める。明らかなごみはできるだけ取り除いたが、全体に茶色っぽく汚い。これで結晶ができるのかどうか心配だが仕方ないのでそのまま続行。
試薬に溶かす
ここがちょっと難しいなと思ったところ。
カバーグラスにGE試薬を付けて、集めた付着物の上にかぶせる。先生の動画と比べると試薬の量が多すぎたようだ。
ライター(チャッカマン)でスライドグラスの下から試薬の部分をあぶり、一瞬だけ沸騰させて止める。 ちょっとやりすぎたか? (これをやるときは、アセトンは片づけておこう)
スライドグラスに煤が付いたのでティッシュでふき取る。ターボライターを使えばススが出ないとのこと(大村先生に教えていただきました)。
試薬が多すぎたせいで、カバーグラスの外に液が浸み出してきてしまったが、そのまま続行。
顕微鏡で結晶らしきものがあるかどうか探すが、数分間はよくわからない。
5分後(?)ぐらい、「これかな~」というものがちらほら見える。
(以下の写真はTG-6 の顕微鏡モードで顕微鏡をのぞいて撮影)
さらに5分経過(あぶってから約10分)、
あぶってから約30分後の同じ場所。結晶が成長した❕
翌日
全体を探すと、いろいろな形のものがたくさん見つかった。楽しい。
少なくとも2種類おそらく3種以上の結晶があるように見える。これらが何なのか判定するのは素人には難しそうだが、もう少し調べてみる。
とりあえず、地衣成分の結晶を観察することができた!のではないかと思う。結晶を作るだけなら、思っていたより簡単だった。
追記:
最後のの写真は先生から「アトラノリンの結晶のよう」だと教えていただきました。が、他のものについて「原色日本地衣植物図鑑」などで調べ、「これかな~」と思うものもあり、違っているようでもあり、何の結晶かを判断することはできませんでした。今回は、とりあえず結晶が見られたことだけで良しとしようかと思います。
他の地衣類でもやってみたい。
新しい顕微鏡が欲しいが、どういうのがいいのか見当がつかない。
他の試薬、oT, KK は危険度が高そう、、、(o-Toluidine, 5% KOH, 20%K2CO3, 毒性あり、通販では手に入らない?)
参考:
YouTube かはくチャンネル『Microcrystal Tests for Lichen Substances/地衣類化学成分の顕微結晶法』 https://www.youtube.com/watch?v=2IoUzuuf8Ww
大村嘉人「街なかの地衣類ハンドブック」(文一総合出版)
吉村庸「原色日本地衣植物図鑑」(保育社)
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