以下は、
“Lichens are way younger than scientists thought” by Field Museum
https://phys.org/news/2019-11-lichens-younger-scientists-thought.html#google_vignette
とその元の論文
"No support for the emergence of lichens prior to the evolution of vascular plants"
Matthew P. Nelsen, et. al., Geobiology (IF4.407), Pub Date : 2019-11-14
の要約(この要約は間違っている可能性あり)
現代の生態系では、岩のようなむき出しの表面にはまず地衣類が生え、陸上植物が定着できる土壌を提供する。しかし、これは進化の過程を反映しているわけではない。地衣類の生態学的・生物地球化学的影響力は、既に陸上植物によって構成されていた世界で進化したのである。
(陸上植物が最初に出現したのはオルドビス紀であるが,いつから大量に出現し,地球規模で分布するようになったかはまだ不明である。)
論文の内容
Ascomycota の stepwise molecular-clock analysis(分子時計解析)により、地衣共生菌(現生の地衣共生菌の祖先)の発生した年代を推定。
結果: 地衣共生菌の起源は維管束植物よりも新しい。
同様の解析を、地衣共生藻についても実施(green algae のみで、 cyanobacteria は考えていない*注1)。地衣類が維管束植物よりも新しい、という結果を支持する。
Lichen forming Fungi (LLF) *注2:
Ancestral state reconstruction のほぼ全て(稀な例外あり)で Lichen-forming の時期は維管束植物よりも後となった。(稀な例外:”only 1% of trees”)
Pezizomycotina の起源も維管束植物の後である(可能性が高い)。
Lichen-forming green algae (LFA)*注2:
LFAを含むほとんどの系統の起源は中生代~新生代(252.2 Ma‐present) で、維管束植物よりもかなり新しい。(Coccomyxa + Elliptochloris の系統では維管束植物より古い確率が 5.4%。Trentepohliales の系統で維管束植物より古い確率 17.6%。)
最古のLFFの推定年代は、多くの藻類群の年代と重なっている (Figure 2).
Basidiomycota に属するLFFは(ここでは調べていないが)five isolated lineages within Agaricomycetes に限られる。Agaricomycetes の起源は維管束植物より新しく、MRCAは lichen-forming ではない(ことがすでに分かっているので、これらのLFFが維管束植物より新しいのは明らか)。
結論:
現生の LFF の起源は維管束植物の起源よりも新しい。
古い LFF が存在したとすれば、現存するLFFの子孫を持たないPezizomycotinaとAgaricomycetes以外のクレードでのLFFでなければならない。
*注1:シアノバクテリアを共生藻とする地衣類はgreen algaeを共生藻とする祖先から共生相手の乗り換えによって進化したと考えられている(らしい)(Nelsen MP, et. al., 2020. Proceedings of the National Academy of Sciences, USA 117: 21495–21503. ?)
*注2:複数の方法で解析している。方法によって(bootstrap analyses?)結果は確率として得られるらしい。
MRCA: most recent common ancestor
オルドビス紀(Ordovician period):約4億8830万年前から約4億4370万年前まで(https://ja.wikipedia.org/wiki/オルドビス紀)
一部、www.DeepL.com/Translator(無料版)での翻訳を使用した。
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